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ノミ、マダニ媒介性疾患

ノミやマダニはワンちゃんネコちゃんに様々な病気をもたらすだけでなく、飼い主様にも影響を与えることがあります。

ノミやマダニがどんな病気を引き起こすのか正しく理解し、きちんと予防することが重要です。

当院では様々なノミマダニ予防薬を取り揃えております。一人一人に合わせて処方させていただきますので、是非ご相談ください。


対策が必要な時期

毎年4月~12月に、月に1回の投薬が必要ですが、ノミ・マダニは13℃以上の気温で活動が可能であるため

冬場でも暖かい室内で飼育をしている場合は、季節を問わず対策しましょう。

■ノミ

ノミは大変小さい昆虫の一種です。

わんちゃんやねこちゃんに寄生しているノミは成虫で、環境中の全ノミのたった5%、 残りの95%は未成熟のノミ(卵・幼虫・蛹)で、畳やカーペットにいると言われており シャンプーやブラッシングでノミを取っても成長してまたすぐに寄生されてしまいます。

吸血されたところが大変痒くなり湿疹が出来たり、ノミの唾液に対するアレルギーが起こり、 脱毛や皮膚炎が起こったりします。

また、ノミは瓜実条虫を媒介したり、猫で貧血を起こすヘモプラズマという原虫を媒介するとされています。

ノミの成虫の写真

■マダニ

ダニはクモの仲間に分類される虫の一種で、ダニには多くの種類があります。


マダニは、ダニの中でも大きく、血を吸っていない時では約2〜3mmですが、血を吸った後には、その100〜200倍まで大きくなります。普段は植物などに付着しており、動物が植物と接触すると移動してきます。

吸血の際、動物の皮膚に口器をさし、周囲にセメント状の物質を出し、簡単に離れないようにしているため、無理に引っ張ると口器が刺さったまま残り、皮膚炎の原因になるので見つけてもすぐに引っ張らないようにしてください。


ダニは、1匹につき1〜2ccの血を吸うと言われており、大量につくと、重度の貧血を引き起こし、場合によっては命に関わることもあります。

また、マダニは、バベシア症や、最近話題になった重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの重篤な疾患を媒介します。

成ダニの写真(吸血前) 吸血後 寄生し吸血中のダニ

■ノミやダニによって引き起こされる病気

・アレルギー性皮膚炎

ノミが成虫が動物の体に寄生し、吸血する際にノミの唾液が注入され、その唾液成分に対して、動物が過敏に反応した場合に、アレルギー性皮膚炎が起こります。

症状としては丘疹と紅斑を伴った痒みに見まわれます。さらに、激しい痒みに対して、自ら噛んだり、引っ掻いたりすることで、脱毛、皮膚の損傷や皮膚炎を生じます。これらの病変はよく尾根部、腰部、腹部に見られます。症状はいずれの品種・性別・年齢においてもおきます。一度発症すると、加齢に伴い悪化する傾向があります。

また、この疾患発生には季節性が見られ、通常ノミの大量に発生する夏から秋にかけて多く認められます。

また、現在はノミの寄生が見られないのにこの症状が現れることがあります。

これは、遅延性のアレルギー反応といって、ノミに刺されてからしばらく立って症状が現れることがあるためです。


・バベシア病

バベシア症とは、バベシア属原虫が犬の赤血球に寄生することにより生じる溶血性貧血が原因となり、

いろいろな症状が引き起こされ、治療が遅れると死に至ります。

病原体であるバベシア原虫はマダニの体内に潜んでいて、マダニの吸血とともに他の犬に感染します。

日本国内では病原性の比較的弱いバベシア症が関西以西の西日本・四国・九州・沖縄地方に多く発生していますが、

近年では東日本以北での犬の感染例も報告されています。

赤血球に寄生しているバベシア(紫色の点)

・猫ヘモプラズマ感染症

猫の赤血球に寄生して赤血球を破壊して、溶血性貧血を起こすマイコプラズマ属の猫ヘモプラズマが原因となる血液疾患です。

ノミ・ダニの媒介、輸血、喧嘩で感染が可能性が示唆されています。そのため屋外の猫に多く診られます。実験では猫がノミに刺された場合、数週間で感染が診られる場合もあります。

また、感染発症にはFIVなどによる免疫力の低下が関わっている可能性があるとされています。


・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

SFTSウイルスは2011年に中国より報告されたマダニ媒介性の新興ウイルス感染症です。国内での人の致死率は20%前後で、2013年に国内で初めて報告されてから300名以上の感染者が報告されています。患者は中高年に多くみられ、西日本で、春から秋にかけて発生が多いことが分かっています。犬から感染したとされる症例や、2016年に猫から感染したと思われる人の死亡症例が報告されています。


猫では人よりもさらに重篤な症状が認められ、死亡率も60%を超える報告もあります。

犬でも人とほぼ同様の死亡率であり、非常に重篤な疾患の一つです。

当院でも感染例が数例確認されています。


国立感染症研究所 SFTSのページ

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/sfts.html


・ライム病

ライム病はボレリア菌(Borrelia spp.)という細菌によって引き起こされる人獣共通感染症(ズーノーシス)の1つであり、マダニ類が吸血する際に媒介されます。日本では、北海道や長野県で発生が多く報告されています。



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