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神経科

■神経系疾患ってどんな病気?

考えたり、手足を動かしたり、いろんなことを感じたりするのは神経系(脳・脊髄)の働きです。他にも体の様々な調節に関わっています。
そのため神経系の病気は異常の起こった神経の場所によって全身の様々な場所で症状を起こします。(全身の痙攣、体の一部が麻痺する、まっすぐ歩けない、足を引きずる、首や腰を痛がる、見たり聞いたりできなくなる、などなど)
また、症状は突然発症することも珍しくありません。
これらの症状は決して軽いものではなく、早期の診断・治療が重要であり、病気の種類によっては生命に関わることもあるため、できるだけ早く状態を把握して治療を開始必要があります。

当院ではMRIやCT検査装置を備えており、脳や脊髄などの神経疾患に対し、より早く高水準な診断・治療を行うことが可能です。

椎間板ヘルニアをはじめとした脊髄の病気に対する外科治療やリハビリテーションを取り入れた保存療法、 てんかんや水頭症、脳炎といった脳の病気に対する治療に積極的に取り組んでいます。

■こんな症状ございませんか

症状:痙攣,発作,つまずく,震える,立てない・歩けない,首が傾く,眼が揺れるなど

■代表的な腫瘍科の病気

●てんかん

てんかん発作とは、さまざまな原因で神経細胞が異常な興奮することによって起こる発作を繰り返す病気です。特発性てんかんと症候性てんかんの2種類に分類されます。
特発性てんかんはいろんな検査をしても特に何も異常が見つからないてんかんです。犬のてんかんの多くはこのタイプで、原因は分っておらず(そもそも異常が見つからない)、遺伝が関係しているとも言われます。
症候性てんかんは内科的な疾患や脳の外傷や脳腫瘍、脳炎、水頭症などの原因によって2次的に引き起こされるタイプです。
そのため、診断には様々な検査を行い、症候性てんかんが否定された場合に特発性てんかんと診断されます。
治療は特発性てんかんでは抗てんかん薬の内服で行います。症候性てんかんは原因によって治療方法が異なります。

●前庭疾患

高齢のわんちゃんなどで突然目が回り、立てなくなる病気があります。平衡感覚を司る内耳やその奥にある前庭という脳の一部の炎症によって起きます。その中でも前庭の炎症によるものを前庭疾患または前庭炎と言います。
多くの場合1週間ほどで治るのですが、その間気持ちが悪いのでご飯が食べられなくなり、高齢のわんちゃんのはそのせいで弱ってしまうので、点滴などの支持療法が必要です。
なお、ごく稀にさらに中枢の脳の疾患である脳腫瘍や脳炎の場合もあり、その診断にはMRIが必要な場合もあります。

●脳腫瘍(髄膜腫,グリオーマなど)

脳腫瘍は一般的には老齢の犬猫に発生することが多く、その発生率は人間よりも高いとされます。腫瘍の早期発生は難しい場合も多く、犬ではてんかん発作が原因で発見される事が多く、猫でははっきりとした症状を示さず発見が遅れてしまう傾向にありますが、脳腫瘍の存在する部位や大きさにより様々な神経症状を起こします。
多くの場合には高齢の動物がかかりますが、腫瘍の種類によっては1歳未満、あるいは4−6歳で起こるものもありますので、全ての年齢で脳腫瘍という病気は起こり得ると考えられています。
また、犬種によって特に多い脳腫瘍の種類が異なります。脳腫瘍が疑われた場合にはMRIなどの画像検査を行い、その後の治療方針を慎重に検討していく必要があります。

犬の嗅球に発生した腫瘍

T2強調

T1強調

FLAIR

造影T1強調

犬の嗅球に発生した腫瘍
(左からT2強調、T1強調、
FLAIR、造影T1強調画像)
てんかん様の症状で来院されました。

●脳炎

脳炎とは、脳に発生する炎症性疾患です。 脳の表面の髄膜にも炎症が同時に発生することもあり、その場合は髄膜脳炎と呼ばれます。 原因によって非感染性、感染性、二次性(他の脳疾患に続発して起こるもの)の3つに分類されます。 犬の場合は感染性のものよりも非感染性の方の発生数が多く、猫ではその逆です。
感染性脳炎は細菌やウイルスによって起きます。犬ではジステンパーウイルスにより、 猫では猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)によって脳炎が起きることがあります。 犬の非感染性脳炎の原因は不明ですが、自己免疫の異常が関係していると考えられています。 パグやフレンチブルドックなどに多いとされます。
脳炎の診断にはMRI検査、脳脊髄液検査、血液中の抗原または抗体検査等が必要になります。 治療は疑われる原因により異なりますが、非感染性脳炎であればステロイド剤や免疫抑制剤などを使用します。痙攣がある場合には、抗てんかん薬も使用します。

トイプードルで起きた脳炎の画像

T2強調

T1強調

FLAIR

造影T1強調

現在免疫抑制剤で治療中です。

トイプードルで起きた
脳炎の画像
(左からT2強調、T1強調、
FLAIR、造影T1強調画像)
現在免疫抑制剤で
治療中です。

●水頭症

脳は脳脊髄液という液体によって保護されています。 水頭症は脳室と呼ばれるスペースに過剰な脳脊髄液がたまり、脳に異常な圧がかかる疾患です。 脳脊髄液の産生増加、吸収不全、循環障害などが原因とされます。
先天性水頭症は猫よりも犬で多く、脳脊髄液の通路が塞がったり、狭くなったりするために、脳室が拡大します。通常、症状は生後半年から1年くらいの間に出てきます。 後天性水頭症は腫瘍や外傷など他の原因により脳脊髄液が溜まる病気です。 あまり動きが活発でなく、寝る時間が長い、といった症状が一般的です。痙攣を起こす犬もいます。
進行するとふらついたり、目が見えなくなったりします。ただし、無症状の犬も少なくありません。 治療は脳圧を下げる薬を飲んだり、抗てんかん薬を飲んだりしますが、重症例では手術が必要な場合もあります。

水頭症が認められるチワワのMRI画像

T2強調画像

T1強調画像

脳室の拡張が認められる


ふらつきと痙攣発作で来院されました。
現在は内服で症状は落ち着いています。

水頭症が認められるチワワのMRI画像
(左:T2強調画像 右:T1強調画像)
脳室の拡張が認められる

ふらつきと痙攣発作で来院されました。
現在は内服で症状は落ち着いています。

●頭部上位頚椎接合部形成異常(CJA)

後頭骨から環椎軸における先天性の骨の形成異常によって起こる疾患の総称です。 チワワなどの小型犬に多い環軸不安定症や尾側後頭部奇形(COMS)、 キャバリアなどに見られるキアリ様奇形などの様々な病気が含まれます。
まだまだ分からないことも多いのですが、 近年CTやMRI検査の普及によって診断されることが多くなってきました。 当院ではMRIだけでなくCTをもちることで骨の異常も検出することが可能です。

COMSが認められる
ヨークシャーテリアのCT画像

CT画像より作成した3D像
拡大した後頭孔が確認できる

CTによる矢状断像

COMSが認められるヨークシャーテリアのCT画像
左:CT画像より作成した3D像。拡大した後頭孔が確認できる
右:CTによる矢状断像。

●椎間板ヘルニア

脊椎は椎骨という骨が並んでできています。椎骨と椎骨の間には椎間板という軟骨組織が存在していて、クッションの役割をしています。 椎間板は中央にゼラチン状の髄核、周囲にはコラーゲンを豊富に含む線維輪からできており、髄核や線維輪の一部などが突出し、脊椎の中を通っている脊髄という神経の束を圧迫するのが椎間板ヘルニアです。 犬では多くは胸部と腹部の境目あたり(T11-L3間)で発症しますが、頸部でも発症することもあります。
診断にはMRIまたはCTで行います。以前はレントゲンだけでしていたこともありましたが、CTとMRIを導入して以来、より正確な診断ができるようになりました。
軽度だと脊髄の痛みだけですが重度になると足が動かなくなったり、手足の感覚がなくなったり、排尿ができなくなったりします。 また、重症の方の一部では神経が壊死起こす脊髄軟化症という病気になり亡くなることもあります。脊髄軟化症は現在の獣医療では治療することのできない疾患の一つであり急速に進行する病気です。
軽度の場合の治療は薬による内科療法とケージレストによる温存療法を行います。四肢の麻痺が認められる重症の場合には手術が適応になります。ただし手術をしても機能が回復しない場合もあります。

ミニチュアダックスフンドで起きた
椎間板ヘルニアです。
矢印のところで椎間板が突出しています。
この後手術を行い、改善しました。

ミニチュアダックスフンドで起きた
椎間板ヘルニアです。
矢印のところで椎間板が突出しています。
この後手術を行い、改善しました。


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